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部下育成の5W1H質問 

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5314人、そのうち東京843人、神奈川252人、埼玉227人、千葉112人、愛知312人、大阪1242人、兵庫563人、京都128人、奈良112人、福岡243人、沖縄95人、北海道124人、宮城74人などとなっています。全国では1月22日以来3か月ぶりに5000人を超え、大阪・兵庫は過去最多を更新しています。今週中にも、東京・大阪・兵庫の3都府県に対し緊急事態宣言が発令されます。東京都小池都知事は、「できるだけ効果が高くかつダラダラしない方法がいい」と短期集中的に行う必要を強調し、百貨店などの大型施設や遊興施設への休業要請とともにこれまで時短要請に留まっていた酒類を提供する飲食店への休業要請も検討しているようです。ただ、2週間程度の期間で解除すれば、再び感染が急増することは目に見えています。最低でも3週間から1ヶ月が必要でしょう。一方で、大阪府吉村知事は、飲食店に午後8時までの時短営業(土日は休業)は認めたうえで酒類の提供を禁止するように求めるようですが、飲酒と新型コロナ感染とは何の関係もありません。飲酒をしなくても大声で会食すれば感染リスクはあります。またしても吉村特有の思い付きとしか思えません。これまでの「大阪発ワクチン」や「うがい薬」発言と全く同じです。政府内には、緊急事態宣言発令に対し、市民生活や経済への影響を理由に消極的・慎重な意見も多く、またしても中途半端な内容になる可能性も否定できません。それでは急速に広がっている変異株に対して太刀打ちできません。困ったものです。

さて、今日は、東洋経済オンラインの「部下が育たない上司は5W1H質問が分かっていない」を取り上げます。

これまでも部下の育成に関する記事を取り上げてきました。中には、「部下の指導・育成は上司の仕事ではない」というのまでありました。確かに、上司も自分の仕事を抱え、部下の指導にのみ関わっているわけにはいきません。しかし、自らが率いる組織やチームが成果を挙げなければなりません。そのためには部下が成果に貢献できるように指導・育成することが不可欠です。

この記事では、「今回のコロナ禍で、テレワークやリモートワークがニューノーマルとなれば、『空気を読む』『阿吽の呼吸』が難しくなれば、適切な言葉に落とし込む力(言語化)とパワフルな言葉で問いかける力(質問力)の必要性はますます高まる」と言っています。まさにその通りだと思います。テレワークやリモートワークでなく出社形態の勤務においても、言語化力や質問力は上司・リーダーには必要なスキルです。

部下の育成においても、上司が正解を教えるのではなく考える道筋を与えることが重要です。そのためには部下の話を聞き、適切な質問を繰り出してその回答を考えさせる中で部下自身が自ら成長できる環境を作ることです。部下自身が自分で考え行動できる環境を整えることで、部下の力を引き出し成果を出すことができるのです。

そのためには、部下の力を引き出し、部下自身が自ら成長できる質問の出し方が重要です。

この記事では、メンバーの状況や業務に応じたパワフルな問い、言い換えれば思考を深めたり議論の流れを変えたりできるような適切な問いのことを「パワフル・クエスチョン」と呼んでいます。そして、この「パワフル・クエスチョン」の素が誰でも知っている「5W1H」に詰まっていると言っています。 

5W1Hをマネジメントで効果的に使うためのポイントは、1つ一つの意味(本質)をしっかりと理解することです。その上で、部下の視点、意見、提案に対し、

  • When(時間・過程軸)・・・「時間的インパクト(変化)」を問う。
  • Where(空間・場所軸)・・・事象の「全体像・重要箇所」を問う。
  • Who(人物・関係軸)・・・明確な「ターゲット」の視点を問う。
  • Why(目的・理由軸)・・・より上位の「目的・未来の姿」を問う。
  • What(自称・内容軸)・・・「だから何?違いは何?」を問う。
  • How(手段・程度軸)・・・「施策の判断基準・実行の難所」を問う。

部下とのやり取りも、「どう思う?」ではなく、以上の6つの軸に則った質問を繰り返すことで部下に考えさせることです。部下にさまざまな思考を促す問いかけが必要なのです。

そう言っても、現場では中々うまくいきません。うまくいかない原因は、その問いかけが ①「質問」ではなく「尋問」「詰問」になっている ②答えにくい「質問」になっている からです。ここで重要なのは「Why?(なぜ?どうして?」です。いきなり「なぜ?どうして?」と問いかけられても、聞かれている方はそれを「尋問」なり「詰問」ととらえ、何をどう答えればいいのか分からなくなってしまいます。

こうしたマネジメント方式では、長期的にはメンバーの自主性や自律性をそぐことになり、上司の気にいるような独創性のない「正解探し」にばかり走ってしまいます。これでは部下を育てることにはなりませんし、成果を上げることもできません。

問題解決の場面では、「原因探し」の前に「場所探し」、つまり「Why?」という原因追及の前に「Where?」という場所探しから入ることがポイントとなります。

「なぜミスが起こったのか」を問う前に「ミスの発生場所はどこか」、あるいは「どうして売り上げが落ちたのか」を問う前に「売り上げのどの部分が特に落ちているのか」を問うことです。つまり問題の所在を様々な切り口によってできる限り特定するということを先に行うのです。

「なぜ?なぜ?」と原因ばかりを問い詰めるのではなく、「どこ?なぜ?」と部下の思考を深めて問題解決を促していくことこそが重要です。

話しは変わりますが、トヨタでは通常の5W1Hとは異なる5W1Hがあります。これは「Why? Why? Why? Why? Why? How?」です。ひたすら「Why?なぜ?」を問い続けるのです。これは徹底して原因を突き止めることを目的としています。徹底して原因追及(Why)することで本当の原因を洗い出し、真の対応・解決方法(How)が明確になるというものです。

このトヨタ式5W1Hは、クレーム対応や組織・チームの問題解決の場面では、全社員に問いかけることで「Why?」を徹底的に集めることができ、それらを検討することで真の解決方法(How)が見つかることにつながります。一方で、部下個人の状況や問題解決には普通の5W1Hが有効だと思います。先ほども書きましたが「Why?」を連発すれば部下は「詰問」されているように感じ委縮します。この場合には「Where?Why?」という問いかけが有効なのです。

このように考えると、普通の5W1Hとトヨタ式5W1Hをうまく使い分けることが重要ではないかと思います。