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休日の本棚 リーダーは対話から学べ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で777人、そのうち東京82人、神奈川81人、埼玉37人、千葉36人、愛知43人、大阪124人、兵庫45人、京都20人、福岡31人、沖縄15人、北海道24人などとなっています。東京では今年に入って一番少ない数字になりましたが、昨日の新規感染者は緊急事態宣言中に感染したとみられ、解除後に繁華街の人流が急激に増えていることから、今後1~2週間後の数字が心配です。再び感染拡大とならないことを祈ります。拙速な行動制限は問題で、状況を見極めつつ段階的に行うべきです。

飲むコロナ治療薬が話題となっています。メルク社の新型コロナ治療薬モルヌピラビルの第3相試験の中間解析の結果で、入院または死亡リスクを50%軽減すると発表されました。アメリカのFDAに緊急使用許可申請が出され承認されれば、日本でも緊急承認される可能性が高まり、早ければ年内にも承認されそうです。新型コロナの治療薬として飲み薬ができるということはコロナ治療に光が差し期待大ですが、そうは簡単ではないようです。 インフルエンザ治療薬のタミフルのように、すぐに処方してもらえる薬ではなく、「発症5日以内の軽症又は中等症患者」で「少なくとも1つ以上の重症化リスクを持つ」人だけが処方されるということです。これは第3相試験の対象者が限定されており、FDAもこの条件で承認するからです。また、現在のところ生産量も限られており、対象が限定されるのはやむを得ないところです。しかし、飲み薬であれば医療者にとっては点滴準備などが不要となり、自宅療養・宿泊療養者へも簡単に投与することができ、自宅療養中の死亡リスクを軽減させることができます。新型コロナ診療がシンプルになり、大きな進展が期待されます。

さて、今日は、ハーバード・ビジネスレビューから「リーダーは対話から学べ」という論文を紹介します。この論文はリード・ホフマン、クリス・イェ、ベン・カスノーカの共同執筆です。

これまで、何度もリーダーシップや対話の重要性について書いてきました。今日の論文は、それらとは若干趣が違います。

時代に即したリーダーシップが求められるのは当然で、アメリカでは、教育のパーソナル化・ソーシャル化が進み、リーダーシップ開発も大きく変わってきています。リーダーシップ育成に、個別学習クラウド(PLC:オンライン講座やソーシャルで双方向的なプラットフォームなど)と呼ばれる学習インフラがあります。PLCは個人やチームのニーズに柔軟に合わせて構成でき、アクセスも簡単で、21世紀型のOJT(On-tha-Job Training)と評価されています。

確かに、PLCは新しい時代のリーダー教育に欠かせないものになってきています。しかし、激動の時代に経営幹部が新しいスキルを修得し続けることは重要ですが、この論文は「ビジネスリーダーの学びにはもっと大切なものがある」と言っています。それが、人的ネットワークの知見、「ネットワークインテリジェンス」です。人的ネットワークを築き、そこで問いかけ、対話から学ぶということなのです。

1.優れた経営者や起業家は「ネットワークインテリジェンス」で学ぶ

 ビジネスリーダーが変化と創造的破壊の波に飲み込まれないようにするには、「永遠の学習者」にならなければなりません。そのためにPLCは有用といえますが、正式な養成講座やプログラムを使ってこうした学習法を実践している人はほとんどいません。講座がオンライン化していても、企業を取り巻く環境が絶えず変化していく中で、養成講座やプログラムを絶えず時代に合わせることも難しいのです。

 大成しているリーダーはPLCではなく違う方法で学んでいます。それが、人的ネットワークの知見、つまり「ネットワークインテリジェンス」です。

 学習ネットワークを築くのは難しいかもしれません。有名企業に勤めていたり、既に広範なネットワークを築いていたり、人が依頼に応えたくなる経歴上の特別な何かがあったりすれば、ネットワーク作りは容易になりますが、多くの人にはそれほど容易ではありません。しかし、誰かと一対一で言葉を交わすことによって学べる可能性を考えれば、たとえ苦労したとしても、ネットワークを築くメリットは大きいのです。

 大勢が列席する席やオンライン上、文書上では自分の意見を披露しなくとも、一対一では見解を示す人は多いですし、会話を通じた学習は質問によって進行するため、自分のレベルに適した内容となります。しかも、一対一では、後ろに隠れたり居眠りもできないので、しっかりと準備しなければなりません。

 自ら学ぶことは重要ですが、文献を手あたり次第読み漁るということは不可能ですし、無駄な労力や時間を消費します。人的ネットワークを構築し、その中から、あるいは人的ネットワークの伝手を頼って、うってつけの情報源を見つければ、一対一の会話を通じて必要な知識を得ることができます。重要なのは、その道のプロを見出す術であり、質問を通じた対話の仕方なのです。

2.情報をどのように収集し管理し使うかが成否を分けるポイントになる

 有名人でなくてもその道のプロは大勢います。著名人にこだわる必要はなく、「自分より1年か2年先、もしくは5年先を行っている人物を探すこと」そうすれば「思ってもみなかった重要なことが学べる」はずです。コロナ禍で自宅にいながら好きな時間に学習できるオンライン講座も、一般化していてカスタマイズの必要がない経営手法など分野によっては役に立ちます。しかし、こうした講座は学ぶための一つの方法にしかすぎません。唯一の方法と見なさないことが大切です。

 ビル・ゲイツは、「競合企業と差別化する最も有効な方法は、情報を使って並外れた仕事をすることだ。情報をどのように収集し管理し使うかが、成否を分けるポイントになる」と言っています。

 世紀の教育制度では、人生の特定の時期に修得した知識はずっと通用する「固定資産」のように見なされていますが、実際には、必要とされる知識は絶えず変化しています。だからこそ、優れたリーダーは知識の習得や吸収をけっして止めようとしません。

 ネットワーク時代には、これまでに存在しなかったり予想だにしなかった課題があふれ、日々力量が試されます。こうした課題への対処法は、どこにも書かれていません。たいていの場合、似たような状況に直面した人々に話を聞く以外に方法はないのです。

 人的ネットワークを築き、同じような体験を意思た人を見つけ、問うのです。これしかないのです。