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成果さえ出せればいつどこでも!

おはようございます。

一昨年キャッシュレス決済サービス大手のPayPayが事業拡大でオフィスを移転しましたが、新オフィスはコミュニティ型ワークスペース「WeWork」の1フロアです。緊急事態宣言による在宅勤務を経て「ニューノーマル時代のオフィス」を構想し、その結果、全国の「WeWork」を利用でき、社員が成果を上げやすい場所を自由に選べるよう人事制度の変更を行ったのです。

これからのテレワーク時代の新しい取り組みとして注目されました。

在宅勤務といっても自宅では業務に集中できない人はサテライトオフィスとしてWeWorkの専用スペースを利用できるのです。

新オフィスには、ソーシャルディスタンスに配慮しつつ業務に集中できる「デスク・ワーク」、チームビルディングやセミナーに使う「ラーニング」、対面の議論やブレストに適した「アクティブ・コラボレーション」、偶発的な出会いを促す「コミュニティ&ソーシャル」の4つのゾーンが設けられていて「あなたの部署はこの場所、あなたの席はここ」といったものはなく、WFA(Work from Anywhere at Anytime)」=「好きな場所と時間で自分の働き方を選べる」というのです。成果さえ出せればいつどこで働いてもいいということです。

元々PayPayは、外国籍のメンバーを多く、直接会って議論をして意思疎通を図り意思決定していくような会社で在宅勤務制度もなかったと言います。ところが緊急事態宣言でやむなく在宅勤務・テレワークを取り入れたところ、思いのほか「効率が上がる」「会議も時間さえ合えば場所を取らなくていい」となったというのです。そして、こうした経験と実績を踏まえ「それぞれの社員個人の成果を上げるには適切ではないか」という判断に至り「WFA」が導入されたのです。

「成果さえ上げていればいつどこで働いてもいい」というのは成果主義です。

21世紀以降、「年功序列制度」から「成果主義」にシフトする企業も増えてきていますし、現在成果主義への移行を検討している企業も少なくありません。

年功序列制度」では勤務年数や年齢ががるにつれて賃金や役職が上がりますが、社員の高齢化に伴い、慢性的なコスト増が経営を圧迫するようになります。「成果主義」では、業績や成果に基づいて賃金や昇進が決められるので、企業業績と人件費の連動性が高く、企業にとってコスト管理がしやすいということになります。

もともとPayPayは完全成果主義・完全年俸制の会社だったこともありすんなり成果主義を前提とするWFAに移行できたのです。

成果主義にとって重要なのは「成果の評価」です。PayPayでは、成果の評価にとって最も重要なのは「目標の設定」だと言います。いかに自分の目標を事前にKPI(指標)化するかで、その達成度合いによって評価が決まるのです。しかし、営業など数字が見える部署や仕事ではKPI化はしやすいのですが、数字化できない業務もあります。こうした数値化できない業務をいかに客観的に評価するかが課題となります。

テレワーク・在宅勤務は成果主義に結びつきます。働き方改革でテレワーク・在宅勤務の導入が進むと成果主義に移行する企業はさらに増えるように思います。

年功序列制度」も「成果主義」にもそれぞれメリット・デメリットがあります。全面的な成果主義への移行を進めている企業もありますが、年功序列制度の一部を成果主義に切り替えるというところからスタートするのがよいように思います。

成果主義に切り替える理由、期待する効果、懸念される課題などをしっかりと検討したうえで、成果主義をどの程度取り入れるか慎重に判断すべきです。

さて、PayPayのWFAに戻ります。原則「いつどこで働いてもいい」ということになっていますが、定期的に顔を合わせるときや新しい付加価値を生むときにはオフィスは必要との考えで、チームビルディングや協働意欲を高めるとか、ディスカッションして意見交換するとか、タイミングを見ながら必要に応じて直接顔を合わせる機会を設けオフィスを使用することになっているようです。

リモートで一人で成果を出すことと、人と人との協同関係から新しいものを生み出すことの両方を認めたうえで、WFA(成果さえ上げればいつどこで働いてもいい)ということになっているのです。

WFAで求められる人材は「一人で自走できる人」と言うのですが、これは「自分が何を為すべきかを考え、問題を自分で発見し、自分で解決していける人」です。しかし、テレワークや在宅勤務で孤独を感じる人もいます。そうした人へのフォローも必要でしょう。その意味で、常にリモートワークをするというのではなく、必要に応じて直接顔を合わせる機会を設け、協同関係で作業をするというのも重要になってきます。

テレワーク・在宅勤務が叫ばれていますが、ここでもテレワーク・在宅勤務と出社勤務のバランスが重要になるように思います。