休日の本棚 マッキンゼー
おはようございます。
マッキンゼー&カンパニーは1920年代に創設されたアメリカに本社を置き、欧州、アジア、南米、東欧等世界60か国に100以上の支社を持つ大手コンサルティング・ファーム、戦略系コンサルティング・ファームです。
ダフ・マクドナルド著「マッキンゼー 世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密」(ダイヤモンド社)は、世界の頭脳集団といわれ世界中の大企業が頼りとするマッキンゼー&カンパニーの実態に迫ったノンフィクションです。
・何故、マッキンゼーは経済ビジネスの分野だけでなく、政治や軍事の面でも絶大な影響力を持ち続けているのか?
・マッキンゼーが関わった企業は本当に業績を上げたのか?
本書はマッキンゼーの生い立ちから変遷、内幕、功績と問題点などを包括的に語り、マッキンゼーが大企業の意思決定にかかわってきただけでなく、アメリカ資本主義そのものの行方を左右してきたことを語る一方で、多くの失敗についても鋭くメスを入れ、結局マッキンゼーは有益なのかという疑問を分析しています。著者は、「クライアントの問題を解決するための客観的で懐疑的、事実に基づいた分析的アプローチを通じてマッキンゼーが世界を効率的で合理的、客観的な場所にしたのは確かだ」としつつも、「伝説になるようなコンサルティングの仕事は全くない」としています。
本書では、主にマッキンゼーの歴史、功績、問題点が語られていますが、それを通じてアメリカの政治・経済、世界経済の動きを理解することができます。マッキンゼー出身者は日本でも大活躍しています。元日本支社長でエンペラーと言われた大前研一氏、著述家の勝間和代氏、DeNAの創業者南場智子氏、ミクシー社長の朝倉雄介氏などです。マッキンゼーにはクライアント企業に対する失策や問題点があるとしても、その影響力には計り知れないものがあります。本書は企業経営に関わるコンサルタントやコンサルティングファームの問題点を抉り出し面白いノンフィクションになっています。
本書の序章によれば、「何らかの問題」がスタート点でありそれを「解決すること」がゴールとなり、クオリティーとスピードのどちらも追究しながら2つの点を最短ルートで結んでいくことこそがプロフェッショナルの仕事です。マッキンゼーのエリートたちは時に正攻法で、ときには誰もが思いつかないような方法でクライアントの問題を解決していくのです。こうした仕事の中で、マッキンゼーの優秀なコンサルタントが日常的に大切にしている習慣があると言います。例えば、解決すべき問題を確認するときに「そもそも本当にそれが問題なのか、別のところに問題があるのではないか」という「ゼロ発想」、リサーチの時には片っ端から資料を読み込んだ後に必ず「現場」に行くし、問題点を整理するために「ロジックツリー」を使う、上司に時間をもらうときには「今、1分だけいいですか」と話しかけ「30秒で3つの要点に分けて説明する」など。こうしたシンプルな習慣が、点と点を無駄なくつなぐ原動力になり、マッキンゼーのエリートたちはこうした思考を習慣化しているのです。本書では、こうしたシンプルな習慣を「39の習慣」として紹介されています。
Ⅰ:バリューにこだわる=問題解決の習慣
①常に「ゼロ発想」をする
②「鳥の目」で分析して最適解を探す
③「クリティカルシンキング」を身につける
④「雨」が降る前に「傘」を準備する
⑤「現場」に行く
⑥イシューから始める
⑦「バリュー」にこだわる
⑧「効率重視」か「アイデア重視」かを区別する
⑨「緊急度」と「重要度」のマトリックスをつくる
Ⅱ:要点は「3つ」に分ける=できる部下の習慣
⑩常に「PMA」の姿勢で
⑪上司のタイプを見極めて接する
⑫「1分だけよろしいですか?」と話しかける
⑬30秒で、3つの要点を話す
⑭「事実」をベースに「仮説」を伝える
⑮上司の机を観察する
⑯メールの件名に○○と書く
⑰途中途中で上司に確認を入れる
Ⅲ:「タスク」を視覚化する=段取り上手の習慣
⑱「仕事を頼んできた人」の意図を確認する
⑲マトリックス上にタスクを貼る
⑳いつでも机をきれいに保つ
㉑メールのCCとBCCを戦略的に使いこなす
Ⅳ:主張を質問に込める=客の心をつかむ習慣
㉒対面、メール、電話をうまく使いこなす
㉓相手に「共通点」を探してもらう仕掛けをする
㉔相手が本音を話しやすい「場」を選ぶ
㉕相手と同じ土俵に立たない
㉖自分の主張は「質問」に込める
Ⅴ:認める、共感する=できる上司の習慣
㉗部下に「○○さん」と呼ばせる
㉘認める、共感する、インスパイアする
㉙部下に「仮説」を立てさせる
㉚部下に迷いを打ち明け相談する
㉛思い切って任せる
㉜会議は4種類に分ける
㉝会議の「目的」と「ゴールイメージ」を明確にする
㉞会議中にあえて「ムダ話」をする
Ⅵ:感情をコントロールする=「働くモチベーション」を高める習慣
㉟「メンター」を見つける
㊱ゴルフはプロゴルファーに習う
㊲本は最後まで読まない
㊳5分間で自分に問いかける
Ⅶ:休む時はしっかり休む
㊴心と体を整える