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部下の手柄を横取りする上司の思考回路

おはようございます。
部下の手柄を平気で横取りする上司や、自分のミスの責任を部下に平気でなすりつける上司というのはどのような組織、職場にもいるものです。
人の手柄を当たり前のように横取りできる人というのは、全く罪の意識とか悪いことをしているという意識が欠落しています。横取りされた側からすれば、「なんであんなことができるんだろう」と首を傾げるしかありません。
また、人の手柄を平気で横取りする人は、何かまずいことがあった時には平気で責任を人になすりつけます。例えば、上司の指示に従って事を進め、上手くいけば上司が自分の手柄とし、それが上手くいかなくなると「俺はそんな指示をした覚えはない」とはしごを外してしまうというケースです。
「人の手柄を平気で盗む場合」も「平気で責任をなすりつける場合」も、そこには同じ心理メカニズムが働いているのです。
1.自分の貢献を過大視し、自分の責任を過小視する「認知のゆがみ」
 人の手柄を盗んだり、人に責任をなすりつけたりする人は、困ったことに、本人には手柄を奪ったとか責任をなすりつけたとかいう意識が全くないのです。良識ある人から見れば理解できませんが、こうした人は、自分の手柄だとか、自分に責任はないと本気で思い込んでいるのです。だからこそ余計にタチが悪いのです。
 それには、非常に調子のよい認知のゆがみ「利己的帰属」が関係していると言われています。「利己的帰属」というのは、上手くいったときには自分の「関与=貢献」を過大視し、まずいことになったときは自分の「関与=責任」を過小視する「認知のゆがみ」のことです。誰でも自分は可愛いので、多かれ少なかれ多少は「認知のゆがみ」を持っています。無意識のうちに自分に都合がいいように解釈してしまうということはありますが、これも「認知のゆがみ」が関係しているのです。
 人の手柄を盗んだり人に責任をなすりつけたりするのが平気な人は、この「認知のゆがみ」が度を越している人です。自己愛が強すぎて、目が曇っており、そのために人の手柄を横取りしても人に責任をなすりつけても、平気なのです。
 人の手柄を横取りする人は、人からアイデアを聞いたことは覚えていてもその比重を極端に小さく認知し、自分が発想した部分の方が大きいと思い込むのです。もっとひどくなると人から聞いたことさえ忘れてしまっているのです。だから悪びれることなく自分の手柄にしてしまうのです。
 また、平気で人に責任をなすりつける人も、自分に都合の悪い記憶を抑圧し、思い出さず、「そんな指示をした覚えはない」などと本気で思いこんでいるのです。心の中で、自分に都合がいいように事実をゆがめ、悪びれることがないのです。
2.対策は「距離を置く」「証拠を残すようにする」
 このような人物は、都合の良い認知のゆがみによって、自分がずるいことをしているといった意識はなく、罪悪感など微塵もありません。こうした人物に何を言っても、相手に通じることはなく、こじれるだけです。こちらの精神状態が逆なでされるだけでストレスもたまります。
 このような人物と争うのは不毛です。心のエネルギーを無駄に消費するだけです。こうした人物には、適度に距離を置き、必要最小限のかかわりに留めるべきです。
 そうは言っても、このような人物が同僚や上司にいる場合には、距離を置くことはできません。どうしてもかかわらないわけにはいきません。その時には、しっかりと予防策を講じることです。
イデアを盗まれるのを防ぐには極力メールで証拠を残すこと。口頭で意見を求められたり、アイデア交換した場合でも後からそのやり取りを記した確認メールを出すことで証拠が残せます。他の関係者とも情報共有できるCCで送付することも効果的です。責任をなすりつけられないためにも証拠は不可欠です。口頭で指示を受けた場合でも確認メールを送付するのです。
 争いを起こすのは、日本的組織では好まれませんが、いざという時には自分の身は自分で守るしかありません。最小限身を守る手立ては講じておきたいものです。
 利己的帰属で本人が忘れてしまっている場合でも、証拠があれば、それに対して反論もできますし、それ以上に証拠があるということで、気持ちに余裕ができ、イライラすることもストレスを受けることも軽減できるはずです。