中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

中小企業の再編は必要なのか?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1660人で、1日の感染者数としては過去最多となりました。その内訳は、東京393人、神奈川147人、埼玉75人、千葉74人、愛知143人、大阪231人、兵庫81人、北海道236人などとなっています。北海道、岩手(10人)、茨城(26人)、神奈川、兵庫が過去最多となっています。東京都のモニタリング会議では、「このままの推移で増加し続けると、4週間後に新規感染者が4.8倍、1日当たり1160人程度になる」との深刻な数字が示されました。また、北海道医師会は緊急会見を開き、「この状態が1週間続くと医療崩壊につながる」「医療の立場から言えば、強くGoToトラベルやどうみん割を考えてほしい。北海道はこれから爆発的に増えていくのではないか」と危機感をあらわにしました。

第3波の入り口に差し掛かったところで、第1波、第2波での感染拡大状況を見れば、4週間後には現在に数倍に膨れ上がることは目に見えています。今、本腰を入れて感染防止対策に取り組まなければ、本当に4週間後には1日の感染者数が5000人を超えることにもなりかねません。こうなれば当然重症者や死者も増加します。GoToキャンペーンの運用にしても感染状況に応じて、臨機応変に柔軟な対応が求められるはずです。

ところが、政府の分科会では、大型イベントについては観客数を50%に制限することを来年2月まで延長する反面、映画館については来月から制限を撤廃し100%入れることが出来るように決定しました。まさに分科会は新型コロナ感染症対策として国民の命と健康を守るために政府に適切な提言を行うのではなく、政府の経済優先を進めるための御用機関と化しています。困ったものです。

今日は、朝日新聞「中小企業再編策 検討へ」という記事を取り上げます。

政府は「成長戦略会議」で、中小企業再編促進策の検討に乗り出しています。狙いは「強い中小企業の創造」です。「強い中小企業の創造」と言えば聞こえはいいですが、生産性が低い(菅首相アトキンソンがそう考えているだけ)中小企業を淘汰することが狙いです。それだけで、本当に強い中小企業が生まれるとは思えません。

菅首相ら再編推進派は「現状で十分な給料を支払えない企業まで政府の補助金で生き残っていることが問題」とし、成長戦略会議のメンバーで菅首相のブレーンの一人、デビッド・アトキンソンは「中小企業の生産性の低さ」を問題とし、「そのような企業は倒産してくれた方がいい」とまで言っています。アトキンソンは、コロナ禍で中小企業を支援する雇用調整助成金について、「そのメリットを受けるのはほとんどが小規模事業者である。本来中堅事業者を守る政策を優先すべきにもかかわらず、小規模事業者を優遇している。支援の方向が間違っている」と批判的です。

こうした再編推進派は、中小企業基本法を改正し、中小企業の「枠組み」を改めることで再編を促し、企業の合併や買収・統合などで優遇税制を検討しています。

再編推進派に対して反対論も根強く存在しています。体力のない中小企業が有力な中小企業に合併された場合、その人員整理で「割を食う」のは、弱い立場の中小企業の従業員です。日本商工会議所の三村会長は、「中小企業の生産性が悪いというが、日本は大企業も含めてみな生産性が劣る」とアトキンソンに反発しています。

政府・自民党内部にも反対論があるようです。中小企業は、伝統的に自民党の支持基盤で、「中小・零細企業は雇用の受け皿だ。手を付けたら大変なことになる」との懸念や「コロナ禍の今は中小企業改革はできない。雇用をしっかり守る施策を打つのが重要」との意見もあります。新型コロナで中小企業のみならず、大企業、多くの国民が疲弊している状況で、一番重要なのは新型コロナ対策をしっかりと行い、バランスよく経済を動かし雇用を守ることです。

10月22日にも書きましたが、日本の生産性の低さは中小企業の問題ではなく大企業の問題です。1990年以降は、中小企業における付加価値の伸びが改善されており、真の生産性改善が実現されています。日本の生産性の低さは中小企業の問題ではなく、我が国の下請けや中間搾取といった構造に問題があるのです。こうした構造にメスを入れない限り、いつまでたっても日本の生産性改善を実践している中小企業は飛躍できません。

こうした日本の構造問題に目をつぶり構造改革を行うことなく、中小企業再編だけに目が行くようでは極めて危険です。本来雇用の受け皿となり全体の95%にも及ぶ中小企業をなりふり構わず淘汰することは大企業にも影響を及ぼし日本経済にとって大きな損失になります。

しっかりと議論してもらいたいものですが、はっきり言って今はその時期ではありません。何度も言うように第1の課題はコロナ対策です。中小企業の支援もまだまだ必要です。中小企業に対する雇用調整助成金に批判的なアトキンソン菅首相のブレーンというのではあまり期待できそうにありませんが、今は雇用を守るためにも中小企業改革に手を出すべきではなく、むしろ積極的に支援すべきです。その結果ゾンビ企業が生まれても仕方ありません。コロナが終わった後で、中小企業の再編ではなく構造改革を行えば、ダメな中小企業は自然と淘汰されます。政府が強制的に中小企業の再編をすべきものではありません。駄目なものは中小企業でも大企業でも自然と淘汰される仕組みや構造を作るべきなのです。

菅首相が、日本学術会議の任命拒否のように、意にそわないメンバーを解任し、賛成派で固めて強引に押し切る、そんなことがなされれば日本は終わりです。菅首相の強権主義に目を光らせ、そういうことが行われないように監視していくしかありません。

出世が絶たれた管理職の大逆転劇、独立起業という道

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1547人、そのうち東京317人、神奈川130人、埼玉116人、千葉65人、愛知104人、大阪256人、兵庫70人、沖縄36人、北海道197人などとなっています。大阪、埼玉、兵庫、茨城(20人)、新潟(16人)、山梨(14人)、岩手(8人)の7府県が過去最多を更新しています。日本医師会の中川会長は「第3波と考えていい」と発言し、その原因として、GoToだけでなく人の移動が活発になっていることや冬に向かい低温低湿という状況が拍車をかけていることを挙げ、GoToキャンペーンについて感染者の急増に柔軟に見直しを考えてほしいと述べました。しかし、先日の政府感染症対策分科会の緊急提言でも明らかなように経済優先に突き進んでいる感が強く、新型コロナ対策が後手後手に回り、更に感染者を増加させていくように思います。安倍政権時代もちぐはぐな新型コロナ対策でしたが結局は結果オーライで第1波、第2波を辛うじて乗り切りました。しかし、2度あることは3度あるとは言えず、何もしなければ確実に感染者は増加します。既に、実行再生産数(1人の陽性者が何人に感染させるか)が1を超えているところが多数存在します。感染拡大している地域については、GoTo除外、営業時間の短縮など早急に行うべきです。当然休業要請するのであれば補償を伴わなければなりません。自治体の体力も限界に近づいているので国が支援・補償しなければなりません。

さて、今日は、「実力があるのに、役員に嫌われ…出世の道が絶たれた50代管理職の『大逆転劇』」というネットニュースの記事を取り上げます。この記事は、前川孝雄著「50歳からの独立戦略」(PHPビジネス新書)が基になっているようです。

今は、特にこのコロナ禍では、企業のミドルにとっては不遇の時代かもしれません。働き方改革で65歳定年・70歳定年が導入され始めたとはいえ、終身雇用が保証されず、出世コースから外れて給与も減少し、いつ早期退職勧奨されるかとビクビクしながら出社している人、会社からお荷物扱いされている人、年下に偉そうにこき使われている人などストレスをため込んでいる人も多いのです。

こういう状況に追い込まれると、「こんな会社辞めてしまおう。独立だ」などと思いながらも、低いとはいえ安定した給与を投げ出して独立する勇気が持てない人も多いのです。「会社内での評価も高くなく、出世コースから外れるような自分には独立してもうまくいくわけがない」とネガティブ思考で一歩を踏み出せないのです。

しかし、この記事では、「『会社内の評価=自分の本当の実力』とは限らない」と言ってくれています。その通りです。仕事のスキルが低くそのために社内の評価が低いのであれば、独立しても成功はおぼつかないでしょう。しかし、たいていの人は、ジョブローテーションで自分が得意とする分野の仕事に就けていないケースが多く(この点が日本型雇用のメンバーシップ雇用のデメリットです)、能力がありながら上司との関係がうまくいっておらずに上司から低評価を点つけられている場合もあります。

この記事は、「会社という場における一面的な評価」「仕事上の話で、自分の人格とは関係ない」と割り切ればいいだけの話だと言います。しかし、なかなか割り切れないのが人間です。ついクヨクヨと悩んでしまいます。でも他者からの評価がすべてではありません。自己評価をすれば自分にもいいところが見つかります。逆に、評価した人間を評価して見れば、自分と大差ないことがよく分かるはずです。評価とはきわめて主観的なものです。脳科学によれば、脳は騙されやすいのです。「自分はできる」「やればできる」と100回、1000回言い続けていれば脳は騙され、「できる」という意識が植え付けられます。こうした脳のコントロールは、鬱状態にならないためにも必要です。

この記事の中に出てくるAさん。非常に優秀な管理職であったのに役員になれなかったことで鬱状態になります。Aさんは、非常に優秀ですが尖ったタイプ。現場では大胆な発想や決断ができ、部下をぐいぐいと引っ張り結果も出せたのですが、同調圧力の強い日本企業では、このタイプは上に行けば行くほど敵を作ってしまいます。上司や周囲とぶつかることもしばしばで、まさに半沢直樹タイプと言ったところです。日本においては、こうした尖ったタイプよりは丸いタイプが好まれます。昨日の話によれば、「率い型」ではなく「まとめ型」です。Aさんは能力がなかったから役員になれなかったのではなく、会社が役員に求めるタイプとは違っただけのことです。しかし、Aさんは、自分に能力がない、会社に評価されていないと思い込み鬱になってしまったのです。

このようなAさんこそ、独立向きです。その後、Aさんは、会社を退職し、独立し、生き生きと仕事をされているようです。現実の組織の中では半沢直樹タイプは生き残るのは難しく、波風立てないバランス感覚が求められますが、独立して一人社長として働くならば、尖ったタイプこそ成功するはずです。特にコロナ禍のような危機的状況では、自ら率先して行動を起こす尖ったタイプが求められます。率い型のリーダーが必要なのです。

Aさんのエピソードはレアケースではなく、会社内で評価されなかった人が、独立して成功されている事例は多くあります。社内の評価と、独立後の成功とは何の関係もありません。独立しようと考えている人には勇気と希望を与えてくれます。

この記事は最後に「社内での評価があたかも自分の社会的価値のように思い込むのを止めにしましょう」と言っています。

強い意志と熱意を持った尖った起業家が出てくることが日本経済の復興には必要なように思います。 

マーケティング・ミックス 4P・4Cを考える

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1285人、そのうち東京293人、神奈川99人、埼玉67人、千葉48人、愛知129人、大阪226人、兵庫60人、福岡23人、沖縄25人、北海道166人などとなっています。明らかに全国的に急増しています。大阪では3カ月ぶりに200人を超えました。都構想で新型コロナ対策がおざなりになったからであることは明らかです。東京では300人に迫る勢いで、こうした中20日から東京版GoToイートをスタートさせ、今日から食事券の販売がなされます。また北海道では感染拡大で病床がひっ迫しています。

菅首相は、「今までよりも踏み込んだクラスター対応を実施する」と言っていますが、口先だけのような気がして、経済優先の政府には具体的対策を期待できません。われわれ一人一人が密を避け感染防止対策を行っていくしかありません。

こうした中、米製薬会社ファイザーが開発中の新型コロナワクチンが臨床実験で9割以上の予防効果があると発表しました。これが事実とすれば、喜ばしいことですが、「できた抗体がどれくらい持続するのか」「副作用はないのか」などまだまだ課題は山積みです。このワクチンは-60~-80度という超低温での保管が必要なので、輸送や保管方法でも課題がありそうです。それでもワクチン開発が一歩前進したことで新型コロナとの闘いに希望が持てるようになります。

さて、ITmediaビジネスオンラインに「デジタルで『4P』はどう変わる プロモーションは『会話』が勝負?」という記事がありました。今日は、この記事を取り上げるというよりは、4Pについて考えてみたいと思います。

4Pとは、マーケティング・ミックスと呼ばれる4要素、つまり、製品(Product)価格(Price)流通(Place)販促(Promotion)のことです。

マーケティングというのは、色々と定義されますが、著名なマーケティング学者のP・コトラーによれば「個人のニーズと欲求を満たすために、交換過程を通じてなされる人間の活動」と言われています。分かりやすく言えば、企業が顧客が真に求めるニーズに応じた製品やサービスを作り提供することによって顧客が効果的にその価値を得られるようにする活動ということです。

マーケティングは、市場や顧客情報を収集して分析するところから始まります。こうした市場や顧客情報をを基に、市場構造を把握します。具体的には、顧客やその特性に基づいて市場を細分化(セグメンテーション)して全体像を把握します。次に、細分化された市場のどこで戦うのか、標的(ターゲット)となる領域を探します(ターゲティング)。更に、標的とした領域で、競合と差別化できる独自の位置をつかまえます(ポジショニング)。これらの一連の流れは頭文字をとってSTPマーケティングと呼ばれます。これで、戦いの構図が決まります。あとは実践です。マーケティング・ミックスに落とし込むことになります。

優れた製品やサービスを開発しても、売れるとは限りません。競争力のある価格を決めたり、顧客の目につく場所に並べたり、顧客が手に取って見たくなるデザインやパッケージを考えたり、宣伝活動をしたりしなければ売れません。マーケティングに必要な4つの要素を揃えて、これらを有機的に統合させ、売れる仕組みを考えることが4Pということになります。

この4Pは、顧客の購買意欲・購買行動に大きく影響します。まず市場において人々が対価を支払い購入しようとする直接の対象が製品です。顧客がその製品を購入してくれるかどうかは、その購入に必要となる金額や支払いの条件にも影響されます。更に製品や価格が優れていても、流通していなかったり顧客にその良さが伝わらなかったら熟れません。企業が製品を購入してもらうためには製品や価格だけでなく流通や販促活動も必要となり、適切なマーケティング・ミックスの設計が不可欠です。

マーケティング・ミックスを実行するには、3つの整合性を考える必要があります。

  1. まずはターゲティングとの関係です。ターゲットとする顧客のニーズや消費行動と整合していなければなりません。ターゲットとする顧客が、そのプロモーション(Promotion)に反応して、製品(product)を、その場所(Place)で、その価格(Price)で買ってくれなければなりません。
  2. 次に4つの要素間の整合性です。4つのPはそれぞれ独立したものではなく、相互に関連しています。例えば、製品の品質やブランドは価格に強い栄光を与えますし、その価格もプロモーションや流通の仕方とも密接につながっています。高品質のブランドイメージを維持するために、価格や流通や宣伝方法にも整合性を持たさなければなりません。
  3. 個々のマーケティング・ミックスは、企業の全社戦略や事業戦略とも密接に関係します。消費者は製品イメージを企業イメージと重ねてみています。企業の戦略と整合性を保たなければなりません。

しかし、この4Pはすべて売り手側、つまり企業サイドの視点に立ったものです。下手をすると、記号の独りよがりになってしまいます。その意味では、マーケティングにおいて顧客の視点も重要になります。これが、R・ラウタ―ボーンが提唱する4Cです。これは、製品を顧客の価値(Customer value)に、価格を顧客のコスト(Customer cost)に、流通を顧客の利便性(Convenience)に、プロモーションを企業と顧客のコミュニケーション(Communication)にと、とらえなおそうというわけです。こうした顧客視点も効果的なマーケティング・ミックスを設計するうえで重要な視点になります。

ITmedia ビジネス・オンラインの記事では、デジタル化で企業と顧客とのコミュニケーションが増加したと言っています。確かに企業と顧客とのコミュニケーションが増えることは、マーケティング・ミックスから言えばよいことのように思われます。しかし、一方で、炎上リスクを抱えることになります。ちょっとした何気ない一言が、炎上し不買運動にもつながるのです。先日も老舗タイツメーカー・ATUGIのツイッターに「アツギの商品を着用した女の子を描いていただきました!タイツの日、1日を通して朝・昼・夜のシチュエーションで女性の脚もとを彩るタイツ・ストッキングをお楽しみください」と発信し、そこで、タイツを着用した女子高生やCAをモチーフにしたイラストが載り、「じゃあ付き合っちゃおうか」というセリフやプライベートゾーンが見え隠れする描写がなされ、ネットでは「女性を性的に消費している」との批判が殺到し不買運動にまで発展しました。ATUGIには悪気はなかったと思いますが、ターゲットは女性なのに男性目線での描写となる(イラストレーターの起用にも問題があったのでしょう)など、ターゲティングとプロモーションの整合性が欠けて大きなミスを犯しました。

ATUGIのケースは一方的な発信ですが、企業アカウントによる会話は、炎上リスクと隣り合わせにあるように思います。双方的な会話というのは親しみがわき、うまくいけば購買につながりますが、下手すると大炎上にもつながるので注意が必要です。本当に双方的なコミュニケーションをとるというのであれば、炎上リスクを下げる工夫が求められます。企業アカウントの組織的な運用体制をしっかりと作りアカウントポリシーの設定も重要になります。

SNSを通じた情報の拡散を求めすぎるとなると、やらせにもつながり「フェイクニュース」にもなりかねません。あるユーチューバーが豊胸の事実を隠してバストアップ関連商品の宣伝やプロデュースを行っていてネットで炎上したことがありました。損害賠償を求められるなど大問題になりました。

企業アカウントによる会話が炎上リスクを伴うのはデジタルだからというよりも、コミュニケーションの難しさからです。そこには企業と顧客との関係の難しさがあります。顧客と言っても結局は極めて我儘ですぐに気が変わってしまう存在です。他社でよりよい製品や安い製品が出ると直ぐに乗り換え、これまで高評価だったのを低評価に変えてしまうのです。こうした炎上リスクがあることを認識したうえで、企業としては企業倫理を守り続けていくことが重要です。

企業が倫理を守りコンプライアンス違反を行っていなければ、炎上も大炎上にまではならず、すぐに火は消えます。

いずれにせよ、マーケティングにおいては企業側の視点としての4Pだけでなく顧客視点の4Cのバランスを考えながらマーケティング戦略や施策を検討することが求められます。

 

 

できるリーダーの4原則 まとめ型リーダーシップでよいのか?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で775人、そのうち東京157人、神奈川36人、埼玉51人、千葉32人、愛知57人、大阪78人、北海道200人となっています。これは日曜の検査結果に基づくものなので、本来なら検査件数が少なく感染者数も少ないはずですが、このことからも増加傾向にあることが見て取れます。北海道が過去最多の200人超えで東京を抜きました。GoToトラベルを使った北海道旅行のキャンセルも多発しているようですが、政府は、まだGoToトラベル除外を検討する時期ではないとしています(政府基準でステージ3になった段階で検討するとのこと、現在はステージ2です)。どうもこれも後手後手に回りそうです。

政府の新型コロナ感染症対策分科会は、全国的な感染増加傾向にあるとし、このままでは「急速な感染拡大に至る可能性が高い」とし、「5つのアクション」を含む対策強化を求める緊急提言をまとめました。

「5つのアクション」とは、

  1. 今までより踏み込んだクラスター対応
  2. 感染リスクについて、若年層や飲み会参加者にも伝わる情報発信
  3. 店舗や職場などでの感染防止策の確実な実践
  4. 国際的な人の往来の再開に伴う取り組みの強化
  5. 友好なウイルスの遺伝子解析の推進

です。この5つの行動に加え、①年末年始の休暇の分散 ②小規模分散型旅行の推進 ③保健所機能や医療提供体制の強化もこれまで以上に進めていくことが盛り込まれています。しかし、政府の分科会というだけでなく、穿った見方をすれば日本学術会議任命拒否に伴う萎縮効果もあるのか、歯切れが悪く、政府の経済優先に配慮した内容になってしまっているように思います。抜本的な対策をとらない限り、急激な感染拡大に至る可能性は極めて高いと思われます。

これから冬に向かい換気が不十分となり、また年末年始で飲み会などが増える状況で、一人一人が気を引き締めて感染防止の対策を心掛ける必要があります。

さて、国会での論戦が始まっていますが、どう見ても茶番劇です。代表質問に対し、菅首相をはじめ「答弁を差し控えさせていただきます」という回答拒否が80回以上に達しています。日本学術会議関連が半数ですが、それ以外にも議員の不祥事、外交国防、憲法改正など多岐にわたり、全く説明責任を果たしていません。新型コロナ関係の質問にすら回答拒否があります。安倍政権時代よりもひどい状況です。官房長官時代には「問題ありません」「関係ありません」などと言っていればよかったのですが、一国の首相になった今、それでは通用しません。菅首相の答弁や態度を見ていると、説明能力や会話能力、説得力に欠けるように見えます。

昨日も書きましたが、リーダーシップに必要な資質として、誠意をもって事実をわかりやすく伝える能力、希望を与えられるようなメッセージを伝える能力が必要ですが、菅首相にはそうした資質が欠けています。安倍政権で官房長官として官僚を押さえてきたことから(これがよいことかどうかの評価は別として)、優秀な人であることは否定しませんが、所詮は2番手、3番手、縁の下にいて力を発揮する人物です。首相、一国のリーダーとしては分不相応です。最近の菅首相の顔を見ていると疲労困憊、かなり疲れているように見えます。2代続けて「健康不良」で政権を投げだすようなことだけはやめてもらいたいものですが。

アメリカに目を転じれば、バイデンが大統領選に当確し、既に政権移行に動き始めました。「新型コロナ対策」を第1に掲げ、国民にマスク着用を呼びかけました。また「黒人差別問題」「経済再建」「気候変動(温暖化)問題」を主要な課題として取り組むようです。

一方、トランプは、敗北宣言を行うことなく沈黙を貫いています。法廷闘争で徹底的に戦うという話もあれば、メラニア夫人らが敗北を認めるよう説得しているとのニュースもあり、よく分かりません。

アメリカでは、敗北宣言の歴史は長く、1896年の選挙で敗北したウイリアム・ジェニングス・ブライアンが、当選したウイリアム・マッキンリーに送った電報が最初の敗北宣言と伝えられています。以来、30回行われた選挙では、敗者が敗北を受け入れ勝者をたたえ、勝者を支持すると表明し、分断を回避してきました。

敗北宣言の中には歴史に残るような素晴らしいスピーチもあります。

1992年にクリントンに敗れ再選を果たせなかったジョージ・ブッシュは、敗北宣言で、「違いに関係なく、すべてのアメリカ人は同じ目的を共有している。すなわち、世界で最も偉大な国家であるこの国を、より確実に安全なものにし、すべてのアメリカンドリームのチャンスを保証することである」などと述べて、当選者の後ろ盾となって団結するように呼びかけました。

2008年にバラク・オバマに敗れたジョン・マケインは、「私を支持してくれたすべてのアメリカ人に、私とともに、オバマ氏を祝福するだけでなく、私たちの善意と、団結する方法を探るための真摯な努力をささげることを要請する」と述べています。

また、2016年、トランプに敗れたヒラリー・クリントンは、選挙日の夜に直接トランプに電話を入れ敗北宣言するとともに翌日公の席で「トランプ氏がすべてのアメリカ人にとって成功した大統領になることを願う」とスピーチし、特に支持してくれた女性や少女に対し、ホワイトハウスに女性が選ばれることを夢見続けるように促し、アメリカが平和的に権力を移譲できたことを素晴らしいことだと語っています。

アメリカは、共和党民主党の二大政党制であり、両党支持が拮抗しています。両党支持者を分断することなくアメリカを一つにするために120年以上にわたり慣例的に行われてきたのが敗北宣言です。

トランプは敗北宣言を拒否続けていますが、アメリカを分断し、世界を分断してきたトランプらしいと言えばトランプらしいと言えます。

トランプが敗北宣言できない理由についても色々と憶測が出ています。大統領の地位にあることで守られてきたトランプ疑惑が一気に吹き出るからです。大統領の地位を利用したホテル事業などへの利益誘導、さまざまなセクハラ疑惑、選挙資金の公私混同、長年にわたる脱税行為など枚挙にいとまがありません。退任後起訴されて有罪になる可能性もないわけではなさそうです。退任後悠々自適というわけにはいかず、約400億円ともいわれる借金で破産ということになるかもしれないようです。トランプは選挙集会で「バイデンに負けたら気分が悪い。そうなったら国を出るしかないかも」などと発言しており、この発言をとらえてトランプ亡命の可能性を言うメディアもいるようです。

また、トランプはバイデン陣営の不正投票を主張していますが、一部米紙報道では「トランプ陣営が不正投票するように支持者に働きかけていた」というニュースもあるようで、何が正しいのかわからなくなってきます。

どこの国の政治家も変わりませんね。

さて、今日は、というか今日もリーダーについてです。「パンデミックであらわになった『できるリーダー』の4原則」というネットニュースの記事を取り上げます。

この記事では、「これまで、偉大なリーダーと平凡なリーダーとの違いは、勝てる戦略を考え出す能力にあると信じていたが、これは間違いではないか」と言っています。つまり、戦略主導で統制型のリーダ-シップは時代遅れだというのです。

現在のような混乱した状況では、予測不可能で1人のリーダーがすべてを把握して優れた戦略を立案することは不可能です。不確実性に満ち溢れた状況で、リーダーが出来ることは、従業員が気持ちよく働ける状況を整え、それぞれがそれぞれの責任分野において戦略を立て、何がうまくいき何がうまくいかないかを確かめながら、目標を達成するまで調整し続けられるようなサポートをすることだと言っています。

確かに予測不能で不確実な状況では調整型のリーダーシップが有益なこともあります。しかし、未曽有の危機的状況では、誰もが責任を取りたがらず、リーダー自身が決断せざるを得ない状況になります。そのためには出来るだけ多くの情報を把握し、それに基づいて戦略を立てて決断し、その結果に応じて臨機応変に対応するという姿勢が重要なように思います。

ただ、このような未曽有の危機的状況とは言えないような情勢下では、ここに挙げられている調整型のリーダーが有効な場面もあるように思います。

ここに挙げられている4つの原則とは次のようなものです。

  1. 孤独感を和らげる・・・孤独感を与えないためにリーダーはチームメンバーにタスクを割り当て、実行プランをメンバーが立案することを奨励し、信頼できる同僚やメンターからフィードバックをもらうように促す。リーダーがメンバー一人ひとりに時間を取り、孤独感を和らげる努力を取る。在宅勤務・リモートワークが増えれば、こうした孤独感対策は必要です。
  2. 自分の価値観を伝え、現場社員に判断をゆだねる・・・リーダ-が価値観を明確にし、現場で働いている社員に自分の価値観に沿った意思決定と行動を求める。
  3. 自分の考えを押し付けず、部下の話に耳を傾ける・・・リーダーは自分ですべてやろうとするのではなく、ポテンシャルの高い人たちに仕事を任せ、次世代のリーダーを育成する。
  4. 模範を示す・・・リーダーには部下にある行動をとるように言いながら、正反対の行動をとっている者がいる(政治の場ではよくいます)。リーダーは部下にとってほしい行動を身をもって示す必要がある。自ら模範を示すことはパワフルな効果を生み出す。

ここで挙げられるリーダーシップは、部下にある程度の責任を与えるとともに任せ、自らは調整役としてまとめていくというスタイルです。「まとめ型のリーダーシップ」と言ってよいでしょう。かつて、日本の企業や政治の場ではこの「まとめ型のリーダーシップ」がもてはやされましたが、欧米では自らが責任を持ってグイグイ引っ張っていく「率い型のリーダーシップ」が主流です。どちらがいいかは時代や情勢・状況によって異なりますが、両者のバランスが重要なように思います。リーダーが率い型であれば、サブリーダーにはまとめ型を配置し、リーダーがまとめ型ならばサブリーダには率い型を持ってくるというのがよさそうです。

ただ、コロナ禍のような危機的状況では、リーダ-は率い型である方がうまく運ぶように思います。まとめ型では、時間がかかり、緊急事態への対処が遅れます。安倍政権時の新型コロナ対策がその最たるものでした。

但し、率い型と言っても強引に物事を進めるのではなく、失敗すればそれを認め、周りの批判や意見に耳を傾け、新しい情報を得ながらすぐに対応し、臨機応変に軌道修正していくスタイルが重要です。

危機的状況でなければ、まとめ型のリーダーシップも日本では有益かもしれませんが。

バイデンの勝利演説で見るリーダーシップ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で954人、そのうち東京189人、神奈川79人、埼玉45人、大阪140人、愛知81人、北海道153人、沖縄30人などとなっています。本来ならば、休日の集計のために検査数が少なく新規感染者も少なくなるはずですが先々週月曜は400人台、先週月曜は600人台、そして今日は900人台と明らかに大幅な増加傾向にあることが見て取れます。世界でも感染加速で世界の感染者が5000万人を超えました。10月19日に4000万人に達し、3週間で1000万人増加したことになります。「第2波」に見舞われるヨーロッパと「第3波の席巻」ともいわれるアメリカの感染拡大を抑え込むことが世界的には重要です。ヨーロッパ各国では営業時間の短縮・夜間外出禁止など新たな緊急事態宣言で対処しようとしていますが、大統領選で沸くアメリカでは新型コロナ対策がほとんどなされていないのが現状です。

バイデン候補が、ペンシルバニア州で勝利し、過半数となる選挙人を獲得した模様で、ほぼ次期大統領に確定したと言ってよいでしょう。トランプは「選挙に不正がある」と法廷闘争を画策していますが、明確な証拠も挙げられずマスコミもそっぽを向きました。また、大統領府周辺ではすでに就職活動も始まっています。アメリカの公務員制度は日本とは異なり、幹部職員は大統領が任命し政権交代で異動します。そうしたこともあり、すでに大統領府の幹部職員はトランプ敗北を認めて次の就職先を探し奔走しているのです。また、共和党内部にもトランプ批判があり、自らの敗北を認めるようにメラニア夫人が説得に当たっているとのニュースもあることなどから、思いのほか早く決着がつくかもしれません。

バイデン新大統領は、新型コロナ対策を第1の政策と掲げ、マスク着用の義務化をも検討しているようで、アメリカの感染拡大も次第に収まっていることを期待します。

バイデンが大統領となると副大統領には黒人女性初のカマラ・ハリスが就任します。父親はジャマイカ出身、母親はインド出身ということもあり、トランプ政権で助長されていた黒人差別・人種差別が少しは収まることでしょう。

バイデンは勝利演説で、分断ではなく結束を目指す大統領になると語りました。日本の首相の所信表明演説とは比べものにならず、いかに素晴らしい演説であるかがよく分かります。訴えるものがあり、希望があります。リーダーの演説とはこうあるべきものだと示してくれています。こうした演説力はリーダーシップの重要なところでもあります。少し演説から抜粋します。

  • 私は驚きを隠せない。今晩、われわれはこの国、町、あらゆる場所に、世界に広がる、ほとばしる希望の喜びを目にしている。明日への新たな信念と、より良い日を迎える希望だ。あなたが私に与えてくれた信頼と自信を謙虚に受け止める。分断させるのではなく、結束させる大統領になることを誓う。赤い州青い州ではなく、ただアメリカ合衆国だけを見ることを誓う。
  • 心から、あらゆる人の信頼に応えるために働く。米国はそうあるべきだ。われわれは国民のための政権だ。米国の魂を立て直す。米国の屋台骨を建て直し、中間層を再構築し、米国を世界から再び尊敬される国にする。私の人生において、多数の米国人がわれわれの理想像に投票してくれた。そしてその理想像は現実となり、われわれの仕事となる。
  • この厳しい悪夢の時代に今ここで終わりを告げよう民主党員と共和党員が互いに協力を拒否したのは、われわれの制御が及ばない不思議な力によるものではない。すべては決断であり、私たちの選択に尽きる。私たちは協力を選択できる
  • 私たちは今、転換期に立っている。絶望に打ち勝ち、繁栄と目的のある国を築くチャンスがあり、それができると知っている。私たちは米国の魂を取り戻さなければならない。米国は天使と悪魔の絶え間ない戦いによって形作られてきた。今夜、私たちの天使が勝つ時がきた。全世界が米国に注目している。私たちが模範となり導かなければならない。
  • 私は常に、米国を一言で定義できると信じてきた。「可能性」だ。米国ではすべての人が夢をかなえる機会が与えられるべきだ。この国の可能性を信じ、常に先を見据えている。自由で公平な米国、尊厳と敬意をもって雇用を創り出す米国、癌やアルツハイマーなどの病気を治す米国、誰も置き去りにしない米国、決して諦めない米国に向かっていく。素晴らしい国で素晴らしい人々がいる。これが米国だ。私たちが力を合わせれば、不可能なことなどない。

バイデンは現在77歳、来月には78歳になります。71歳の菅首相より6歳年上、年を感じさせない力強い演説で聴く人の心に訴えるように思います。誰かが作った原稿を棒読みしているのとは違います。

また、副大統領となるハリスも、勝利演説で、「(自分は最初の女性副大統領になるかもしれないが)私が最後ではありません。これを見つめているすべての小さな女の子が、この国は可能性の国だと理解するからです」と述べて、未来の子供たちへ希望のあるメッセージを送りました。

彼らの演説には、未来に向けた希望があります。未来に向けた希望があれば、これを聞いた人は希望を目指しリーダーに協力しようという気になります。希望が語られることがなければ、不安を助長するだけで、人は場合によっては自暴自棄になります。

このことは政治だけの問題ではありません。各企業において経営者を始めリーダーが希望が持てる将来展望を示すことによって組織が一丸となって取り組めるのです。

以前にも書きましたが、コロナ禍のような不透明な危機に対処するリーダーシップに必要なものは

  1. 緊急に行動する・・・先延ばしという人間本来の傾向を押さえ込み、緊急に行動を起こす。
  2. 透明性のあるメッセージを伝える・・・誠意を持って現実を正確に分かりやすく希望が持てるメッセージを伝える。
  3. 過ちには生産的に対応する・・・避けられない失敗と予期せる困難に直面した時には後ろ向きの言い訳や自己防衛するのではなく、失敗を認め批判に耳を傾け、目標への集中を維持しながら問題解決に取り組む。
  4. 常にアップデートする・・・先が見通せない危機的状況では、周到に戦略を駆使して新の情報を引き出し、事態の進展と新情報の浮上に応じ、臨機応変に対応し軌道修正していく。

の4つです。

先日書いたような穴熊社長、評論家社長、アイデア社長では駄目です。

リーダーは、自ら積極的に行動を起こし、事実を正確に誠意をもって伝え、相手が共感できる希望を与え、自らの過ちには真摯に向き合い、批判に耳を傾け、事態の変化に応じて臨機応変に対応して行くことが重要なのです。

 

休日の本棚 仕事力を一瞬で挙げるカラダのスイッチ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1332人、そのうち東京294人、神奈川137人、埼玉69人、千葉61人、愛知113人、大阪191人、北海道187人などとなっています。北海道と神奈川で過去最多となる新規感染者が確認され、首都圏、関西圏、愛知でも8月以来の高水準となり、第3波が現実味を帯びてきています。

今後寒くなり乾燥すると、飛沫が拡散されやすくなるので、暖房を入れて部屋を閉め切るのではなくこまめに換気を行い、あとは密を避け、新しい生活様式を続けましょう。

今年も2カ月を切り、今年度の新語・流行語大賞のノミネート語30が発表されました。新型コロナ禍の世相を反映して、新しい生活様式・密・ソーシャルディスタンス・アベノマスク、・ステイホームなど新型コロナ関連が半数近くを占めています。新型コロナ禍の世相を反映しています。

最近のニュースで、新型コロナと血液型の関係、O型は感染しにくく重篤化しにくいという記事がありました。感染症と血液型の関係は、これまでも研究・議論されてきていました。

血液型は、赤血球の表面の糖連鎖という糖が鎖状につながったものの構造の違いによります。そのようなもので、性格判断ができるのかとの疑問はありますが、どうやら感染症には関係があるらしいのです。かつてSARSの流行時の研究・調査で、O型の人はSARSに対する感染リスクが低いことが判明しています。また、SARS以外にも、コレラはO型がかかりやすくA型はかかりにくく、マラリアはO型がかかりにくく重篤化しにくい、O型はA型やB形、AB型に比べノロウイルスには感染しやすいなどです。

SARS流行から15年経ち、新型コロナが流行し、今度は新型コロナと血液型の関係について研究・調査も世界各地で行われています。中国やデンマークでの調査によれば、O型の人が感染しにくくA型が感染しやすいということのようです。イタリアとスペインの研究でも、A型は感染すると重篤化リスクが45%高く、O型は35%リスクが低いという結果が出ています。こうした研究結果から見れば、O型がA型に比べ感染しにくく感染リスクが低いのではと安堵しています(ちなみに私はO型です)。ただ、逆にO型よりもA型、B型、AB型の方が重症者は低いというアメリカでのデータもあるので、まだ決着はついていないようです。

さて、昨日は会計の本の紹介でしたので、今日は気楽な本を紹介します。

鮎川史園著「仕事力を上げるカラダのスイッチ」(自由国民社です。鮎川氏はセルフ整体マスターインストラクターで、この本は、「『身体を整える』ことで仕事力をアップさせよう」という趣旨の本です。本来の自分の能力を最大限発揮できるようにするには少しでも身体に不調があってはいけません。身体を整えることが重要です。健康管理ができない人はビジネスでもダメだと言われます。しかし、この本は、早朝ジョギングや筋トレ、激しい食事制限の管理などを進めているわけではありません。誰でも簡単にできる「セルフ整体」で本来の筋肉の状態に戻そうと言っているだけです。

セルフ整体」とは、90秒間筋肉を緩める姿勢を取ってじっとしているだけという極めてシンプルな筋肉療法で、「ミオンパシー」と呼ばれるものを自分でできるようにしたものだそうです。

誰でもが筋肉を本来の状態に戻すことで、本来の能力を発揮できるベストコンディションを維持することが出来ると言っています。

筋肉は突然の負荷や持続的な負荷に対して、固くなることで対応し、一度固まった筋肉は、放っておいても柔らかく戻ることはないそうです。筋肉が固く縮んでいることで発生している痛みは、ストレッチやマッサージで改善しようとしても改善しません。筋肉は損傷を防ごうとして固く縮んで守っているわけなので、無理に伸ばそうとするのは逆効果です。そこでm整体師は筋肉を緩める施術を行いますが、それを日ごろから自分でできるようにと著者らが考えたのが「セルフ整体」だそうです。

では、そのやり方を紹介します。セルフ整体の流れは次の通りです。

  1. 固くなった筋肉を探す・・・指でグリグリ押さえて、痛い・いた気持ちいなどというところは筋肉が固く縮んでいるところです。
  2. 違和感が消える姿勢を見つける・・・抑えた強さを変えずに姿勢を変えて違和感が消えるところを見つけます。
  3. 90秒間姿勢をキープする・・・違和感が消える姿勢が見つかると、押さえていた手は離し、そのままの姿勢を90秒間キープします。
  4. 緩めた筋肉に力を入れないようにそっと元に戻す・・・90秒経ったら、ゆっくりと元に戻ります。力を入れずゆっくりと行います。
  5. 違和感が消えていることを確認する・・・最初に押さえた個所を同じように押さえてみて違和感が消えていることを確認します。

たったそれだけです。90秒以上やっても意味はないそうです。90秒以上やっても違和感が消えなければ、別の個所を探して同じようにする方がいいのです。

本書では28の筋肉個所に応じて、セルフ整体のやり方が説明されています。その中から、現代人に一番多い肩、腰に関係する凝りの改善方法を紹介しておきます。

1.腰がだるい・・・腰痛の主な原因は、お腹側にある大腰筋という筋肉が固く縮んでいるために背中側に負荷がかかっていることから起きるそうです。そこで、

  • 大腰筋(お腹の奥の筋肉)…椅子に座って、①大腰筋の固くなったところを探します。②違和感のある個所が見つかると、状態を前に倒し、左右にゆっくりとひねります。③違和感がなくなった個所が見つかると90秒その姿勢をキープします。④ゆっくりと元に戻ります。
  • 大腿直筋(太ももの前側の筋肉)…椅子に座って、①太ももの真上を押し違和感のある場所を探します。②上体を前に倒します。③違和感がなくなる姿勢が見つかると90秒間その姿勢をキープします。④ゆっくりと元に戻ります。 
  • 腰方形筋(背中側の筋肉)…立った状態で①親指で真横からつかむように押していきます。②違和感のある場所が見つかると、壁にもたれ、緩める側のつま先を外側に向けます。③違和感がなくなるポイントを見つけその姿勢を90秒キープします。④ゆっくりと元に戻ります。 
  • 広背筋(肩甲骨の下側の筋肉)…椅子に座って、①肩甲骨の下側を押さえ、違和感のある場所を探します。②違和感のある側の腕を椅子の背もたれの反対側に手を引っかけるように伸ばします。③その姿勢を90秒間キープします。④ゆっくりと元に戻します。

2.肩が痛い・・・肩こりを改善するためには、胸側の筋肉と肩甲骨周りの筋肉を緩めます。肩こりの原因は元をたどれば、腰回りの筋肉が固くなっていることによる猫背が原因であることも多いので、腰痛の場合の、大腰筋・大腿直筋も併せて行った方がよいようです。

  • 大胸筋(胸の広い範囲にある筋肉)…椅子に座って、①鎖骨の下あたりの筋肉を反対側の手に指で押します。②違和感のある所を見つけ、緩める側の腕を持ち上げ反対側の肩の上に乗せます。③違和感が消えたところで指を離し90秒キープします。④ゆっくりと元に戻します。
  • 菱形筋(背骨から肩甲骨にくっついている筋肉)…椅子に座って、①肩甲骨の内側から背骨に向かう筋肉をグリグリ押します。②違和感のある側の肘を後ろに出し、肩が少し持ち上がり肩甲骨が内側に寄せられるようにします。③指を離して90部王キープします。④ゆっくりと元に戻します。
  • 肩甲挙筋(肩甲骨の一番カーブが強い部分から首の骨につながっている筋肉)…椅子に座って、①肩甲挙筋の内側を指でグリグリ押します。②緩める側の肘を後ろに出し、背もたれやひじ掛けに乗せます。③肩が持ち上がり、肩甲骨が内側に寄せられるように位置を調整し、指を離し90秒キープします。④ゆっくりと元に戻します。
  • 中部僧帽筋(肩甲骨の間にある筋肉)…立ったままで、手が届かないので、固くなっていることを前提にします。①壁に向かって立ち、緩める側の腕を真横に伸ばします、手のひらを壁に付けて、身体は反対側を向きます。②力を抜いて90秒キープします。③ゆっくりと元に戻ります。
  • 上部僧帽筋(肩の上部にある筋肉)…椅子に座って、①方の真上の盛り上がったあたりの筋肉を指で押さえ違和感のある場所を探します。②緩める側の腕をバンザイするように真上に持ち上げ、肘を曲げて頭の上に乗せます。③違和感が消えたところで指を離し90秒キープします。④ゆっくりと元に戻します。
  • 広背筋…腰痛の所で説明されています。

セルフ整体を毎日のルーティンとして習慣化できれば、固まり縮まった筋肉から解放され、最高のパーフォーマンスを発揮できると言われています。

新型コロナ禍で、家にいる機会が多くなり運動不足になりがちです。セルフ整体を行うのも良いように思います。参考までにやってみてください。

 

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休日の本棚 財務諸表を読む技術 分かる技術

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1140人で、2日連続で1000人を超えました。その内訳は、東京242人、神奈川104人、埼玉114人、千葉42人、愛知82人、大阪169人、兵庫47人、京都24人、北海道115人などとなっています。首都圏、関西圏、愛知、北海道での感染拡大が目立っています。今のうちにしっかりとした新型コロナ感染防止対策をとらないと、第3波は確実に訪れ、欧米のように拡大し改めて緊急事態宣言を発動せざるを得なくなってしまいます。それにもかかわらず、政府の対応を見ていると口先だけで何ら具体策をとらず、逆に経済重視で海外からの入国緩和などを推し進めようとしています。安倍政権時代よりもひどいと言わざるを得ません。また、国会論戦を見ていると野党もふがいない限りで、今何が重要課題なのかという視点が抜け落ちてしまっています。日本学術会議問題も重要ですが、感染者が急増している状況での最重点課題は、新型コロナ対策です。具体的にどのような対策をとり抑え込むのかを真剣に議論することこそが国民の為の内閣であり国会です。第1波・第2波で自治体も資金を使い果たし財政的に自治体任せには出来ません。国が資金的な支援をするしかありません。そうした面も含めて十分な議論がなされるべきです。

さて、昨日、ROEROAという会計上の概念・経営指標を説明しました。その続きと言っては何ですが、会計に関する本の紹介です。小宮一慶著「財務諸表を読む技術 分かる技術」(朝日新書を紹介します。経営者だけでなくあらゆるビジネスパーソンにとって、財務諸表を学ぶことは重要です。会計士や税理士になろうというならば財務諸表の作り方を学ぶ必要がありますが一般のビジネスパーソンにとっては読めればいいわけです。本書は経営実務に必要な「財務諸表を読む力」に絞って、貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書の勘所をわかりやすく解説してくれています。

具体的には本書を読んでください。今日は本書の内容を紹介するというよりは、本書を読むにあたって前提として持っていていただきたい財務諸表の基本の基本を説明しておきます。これを知ったうえで本書を読んでもらえば理解が深まると思うからです。

財務諸表の読み方というのは、会社の「安全性」「収益性」「将来性」を読むということで、一番重要なのが当然のことながら「安全性」です。いくら「収益性」「将来性」が見込まれても「安全性」がなければ潰れる恐れがあるからです。

財務諸表というのは、企業の財政状況を示す貸借対照表損益計算書などの総称で、そのうち貸借対照表(B/S)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)は財務三表と呼ばれます。いわゆる決算書は大まかにいえば、この三表で構成されています。

決算書は、簡単に言えば、会社の「成績」と「健康状態」を示しています。1年間(会計期間)にどのような活動をしてどれだけ儲けたかという成績を示すとともに、会社がさまざまな活動をして健康なのか病気にかかっているのかといった健康状態をも示しています。会社には、経営者、社員のほかに、投資家、債権者、取引先、顧客といったステークホルダーが存在します。こうした人たちに会社の成績・健康状態を示す書類が決算書です。

まず、貸借対照表は、決算日における財政状態を示す書類です。つまり、企業の活動資金がどこからどのような形で調達され(調達源泉)、それがどのような形で使用されたのか(資金の運用)を示しています。

貸借対照表は、「資産」と「負債」「純資産」の3つで構成され、

     資産 = 負債 + 純資産 

という方程式が成り立ちます。

資産というのは会社の体つきを意味し、負債と純資産はそれを支える骨格(骨・筋肉・脂肪)のようなものです。体つきは同じでも、将来返済しなければならない負債が多く、返済不要な純資産が少なければ、支える骨や筋肉は小さくて脂肪で覆われているようなもので健康とは言えません。逆に負債が少なく純資産が多いと、支えている骨や筋肉が大きく脂肪が少ない健康体と言えます。同じ体つきでも中身で違ってきます。

このように貸借対照表は会社の安全性を見るのに重要な書類となります。

次に損益計算書です。損益計算書は、収益と費用を対比させ、当期純利益又は当期純損失を表示し、会計期間の経営成績(企業活動によって得た利益または損失がどのような活動から生じたか)を明らかにする書類です。簡単に言えば、売上から費用を差し引いたものが利益ということになります。利益には色々あります。売上高から売上原価を引いたのが売上総利益売上総利益から販管費を引いたのが営業利益、営業利益から営業外収益を加算し営業外費用を引いたのが経常利益、経常利益に特別利益を加算し特別損失を引いたのが税引前当期純利益税引前当期純利益から法人税等を引いたのが当期純利益となります。これらがマイナスになれば利益ではなく損失となります。

この損益計算書は会社の成績を表します。つまり収益性を示す書類となるわけです。

最後にキャッシュフロー計算書ですが、これは会社の現金の流れを示した書類です。実は、損益計算書での売上や利益は必ずしも実際の現金の流れを表しているものではありません。損益計算書発生主義というルールに基づいて書かれていますので、現実に現金の動きがないのに、モノやサービスが売れた時点で売上や利益として計上されてしまっているのです。キャッシュフロー計算書は現実のお金の流れを示しています。これは人間の身体で言えば、血液の流れのようなものです。損益計算書貸借対照表上では健康で売上があり利益を上げているように見えても、キャッシュフロー計算書を見れば、貧血状態(現金不足)や出血状態(現金流出)ということもあるのです。損益計算書上は利益が上がっているのに資金繰りに詰まって倒産する黒字倒産ということが起こりますが、これはキャッシュフロー計算書を見れば貧血状態・出血状態が見て取れます。

以上の3つの表は密接につながっており、これらを合わせて読むことで会社の本当の姿が理解できます。そして、この3つの表を読むためには「安全性」(倒産しないか?)「収益性」(儲かっているか?)「将来性」(今後大きく成長するか?)という3つの視点で読むことが重要なのです。

まずは、「安全性」を見てみます。

安全性分析の1は、貸借対照表の右側の上下(負債・純資産)を見ます。返す必要のある負債と返す必要のない純資産のバランスです。つまり、返すものが少なければ少ないほど、言い換えれば自己資本(純資産)が多ければ多いほど安全ということです。これを示す指標として、自己資本比率(自己資産(純資産)を総資産(負債+純資産)で割ったもの)がありますが、30%以上が望ましく50%以上あれば安全性が高いと言われています。

安全性分析の2は、貸借対照表の左右を見ます。先ず①短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率です。これは、流動資産を流動負債で割ったものですが、1年以内に返済しなければならない流動負債に対し、1年以内に現金化できる流動資産がどれだけあるかを示すものです。流動比率は100%を超えて高いほどよく150%以上あれば安全性が高いと言われます。次に②中長期的な資金繰りの安全性を示す固定比率です。これは、固定資産を純資産で割ったものです。この数字が100%を超えると固定資産の一部を負債で賄っていることになり、このすうじは低い方がよいということになります。

安全性分析の3は、キャッシュの流れを見ることです。会社が自由に使えるお金(フリーキャッシュフロー)がどれだけあるかを見るということが重要です。

次に「収益性」です。

収益性分析の1が売上高利益率です。先ほども言いましたが利益には5つあります。この利益を売上高で割ったものが売上高利益率で、利益の取り方で5つの利益率が導き出されます。これらの利益率を分析することで、会社がどれだけ効率的に利益を上げているか、収益を上げるための戦略などが見えてきます。

収益性分析の2は昨日書いたROEROAです。これらについては省略します。

最後に「将来性」です。これは「成長性」と言ってもいいでしょう。

将来性分析の1は、前期の損益計算書と比較して「売上高増加率」で伸び・成長度を見ることです。売上高成長率は、(当期売上高ー前期売上高)を前期売上高で割って求めます。増加率については、「時系列分析」(過去数年の増加率と比較)と「他社比較」で判断します。他社の増加率が自社よりも大きいとなれば増加しているからと言って安心できません。自社のシェアが他社に奪われていることになり十分な成長が出来ていないということになります。売上が伸びていても利益率が低下していれば問題です。売上高増加率とともに利益率が下がっていないかにも目を向ける必要があります。

将来性分析の2は、資産の成長度合いが重要です。会社は、「資本⇒資産⇒売上⇒利益⇒資本」というサイクルで大きくなります。会社が順調に成長しているかを確かめるためには、ROAが役に立つのです。ROA総資産利益率は資産に対してどれだけ利益を上げられたかを示す指標ですが、時系列分析を行って、ROAの数値が変わらなければ、資産の増加とともに利益も増加していることを示しています。一方でROAの数値が下がっていれば、資産の増加に利益が追い付いていない、収益性が低下していることを表しています。

今説明したようなことを頭の入れて本書を読んでいただければわかりやすくなると思います。

本書の最後に銀行が企業を見る(審査する)5つのポイントが挙げられていますので、それを紹介しておきます。

  1. 安全性・・・流動比率自己資本比率などで、確実に返済してくれる貸出先かどうかを見る。銀行ごとに独自の基準。
  2. 収益性・・・赤字が続くと格付けが下がる。場合によっては取引停止も。
  3. 将来性・・・業界の将来性とその会社の将来性。
  4. 経営者・・・性格・経験・経営者としての年数などから点数化。
  5. 銀行の収益性・・・融資する銀行に利益が出るかどうか。自己資本比率の維持を重視。

銀行から融資を受けていない企業は存在しないと思われますので、参考にしてください。こうした点を頭に入れて経営を行うことが重要です。

中小企業経営者にも、ビジネスパーソンにも、財務諸表を読んでわかるというスキルは必要です。そのために本書は最適な本と思います。

 

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ROE重視よりROA重視の経営を!

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1048人、そのうち東京269人、神奈川109人、埼玉32人、千葉58人、愛知79人、大阪125人、兵庫43人、滋賀21人、北海道119人、などとなっています。1000人を超えるのは8月21日以来で、相変わらず、首都圏、関西圏、愛知、北海道での感染者が増加しています。都内感染者では家庭内感染が多く、次いで会食となっていますが、ハロウィンパーティー参加者にも感染者が出ています。イベントに参加し気が緩んではしゃぎ過ぎることが原因でしょうが、こうした若者が家庭にウイルスを持ち込み家庭内感染につながっていくように思います。楽しむことはストレスをため込まないためにも必要ですが、節度を持って行動することが大事です。

さて、アメリカ大統領選は一向に決着がつきませんが、バイデン候補が優勢でほぼ決まりのようです。これから法廷闘争を含めたトランプの逆襲が始まるようですが、敗北が決定した暁には、アメリカを分断させないためにも潔く敗北を認め「敗北宣言」を出してもらいたいものです。アメリカの分断はロシアや中国の思う壺です。

少し気が早いですが、バイデンが大統領になってアメリカはどのように変わり、日米関係はどうなるのでしょうか。

トランプはリバタリアニズムの思想の持ち主です。リバタリアニズム(自由原理主義)には、「誰の権利も侵害していない者に対する権利の侵害は正当化できない」という思想が根底にあります。例えば税金はリバタリアンの思想に反します。税金というのは、善良な市民に対する国家による暴力的な権利・財産の侵害となるわけです。トランプは。過去15年のうちの10年間連邦所得税の支払いを行っておらず、2016年に支払った額はわずか750ドル(約8万円)にすぎません。トランプは、この4年間、富裕層を優遇する政策を展開し、経済的な分断を引き起こしてきました。そのことがホワイトプアの増加や黒人差別を助長させました。

バイデンは富裕層に対する増税を行うと思われ、トランプによって広がった格差や黒人差別が是正されるように思います。

確かにトランプの富裕層優遇策は、株価を引き上げ経済成長を加速したように思われますが、その大半は見せかけにすぎません。日本のアベノミクスと同じです。トランプが再選されれば、新型コロナ対策を無視して経済重視にかじ取りし経済政策を推し進めることは明らかで、経済は一時的は復活するでしょう。しかし、新型コロナ対策がおろそかにされ、1日当たり7万人ともいわれる新型コロナの新規感染者がさらに増加し、経済の動きを押しとどめることにもなりかねません。

バイデンは新型コロナ対策にも目を向けており経済対策とのバランスを考えて様々な施策を行うように思われます。新型コロナ対策で経済回復の速度は落ちますが中長期的に見ればこの方がよいのではないかと思います。

アメリカファースト」を掲げていたトランプは、かつてのモンロー主義のごとく国内回帰を標榜し、パリ条約をはじめいくつかの国際条約からの脱退を表明、破棄してきました。バイデンは、パリ条約への復帰を宣言しており、国際関係から見てもバイデンの方がよいように思います。ただ、米中対立、北朝鮮との関係がどうなるかは未知数です。

バイデンが当選した場合、日本への影響は未知数ですが、バイデンはオバマ前大統領時代に副大統領を務めており、日本に突飛な要求はしてこないと思われます。むしろ、トランプ大統領が再選されると米軍基地の費用負担を要求してくると思われます。

日米関係は、外交下手の菅首相が、どこまで新大統領と信頼関係を築けるかにかかってきます。

アメリカ大統領選の結果、更にその後の情勢から目が離せません。

ガラッと話は変わって、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「ROEをひたすら追求する経営がコロナ下で危険だという理由」という記事を取り上げます。

今、多くの経営者や投資家が、ROEという指標に注目しています。ROEは「Return On Equity」の略で自己資本利益率のこと、「株主が会社に預けているお金を使って、どれだけのリターン(利益)を稼いでいるか」を見る指標です。次の式で表されます。

       ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 (%)

株主、特に機関投資家は、「企業が株主から預かったお金(自己資本)でどれだけ効率よく経営しているか(利益を上げているか)」という点を重視しています。ROEが低いということは、株主から預かっているお金を効率よく運用していないというわけですから、当然ROEが高い会社に比べれば株価も低迷します。株価が低迷すれば企業の資産総額も低下するので、経営者もROEを無視することはできません。

日本企業は利益効率が悪くROE8%を最低ラインとして、その上を目指すべきと言われることがあります。

このようにROEは重要な指標ですが、ROEが高い企業が果たして優良企業かと言うとそうとは限りません。先ほどの方程式を見ると分かりますが、ROEを高めるには、①分子である「当期純利益」を上げる以外に ②分母である「自己資本」を下げることでもできるのです。つまり、「自社株」を購入して「自己資本」を減らせばいいわけです。しかし、「自社株買い」をやりすぎると、純資産が減少して企業の安全性に問題が出てくる可能性があります。また、①「当期純利益を上げる」ためには経費を減らせばよいわけですからリストラを行い人件費を減らすことでもできます。ROEだけを考えた経営を行うと、中長期的な会社の安定性や、従業員・雇用の問題に十分に配慮した経営が出来なくなります。

一方でROAという経営指標があります。ROAは「Return  On Assets」の略、資産利益率のことです。これは、「会社が資産に対してどれだけ利益を上げているか」を示す指標で、次の式で表されます。

       ROA  = 当期純利益 ÷ 資産 × 100 (%)

これに 売上高/売上高 をかけると

       ROA = 当期純利益/売上高 ÷ 売上高/資産 × 100

という式が出来上がります。この当期純利益/売上高」は売上高利益率「売上高/資産」は資産回転率を表します。これを見ればわかるように、ROAは利益によって資産が増えるスピードを表すサイクル(利益⇒資産⇒売上⇒利益)になっています。つまり、ROAが高い企業は資産から生み出される売上や利益の成長が早いということです。株主からすれば、積極的な投資により成長が期待される会社であり、債権者からすれば、貸付金回収の確実性が高く、従業員からすれば、倒産リスクが低く給料アップが期待できる会社となるわけです。ROEのように収益性だけを示す指標ではなく、収益性に加え、安全性や成長性にもかかわる指標と言えるのです。

その意味ではROEよりも重要な指標と言えます。

この記事でも、ROAを追求することが経営者の最も重要な役割と考えても良いと言っています。今回の新型コロナのような突発事案では、どのような企業も突如売り上げが蒸発・消滅してしまうリスクを抱えていることが判明しました。収益性重視というROEよりは安全性への配慮が必要だということを思い知らされました。

東京商工リサーチは、11月5日、新型コロナ関連倒産が700件を超えたと発表しました。負債総額が10億円を超える大型倒産が減る一方で、体力の乏しい中小・零細企業の倒産が増加しているようです。政府の支援や無利子融資で生き延びてきた企業が耐えきれなくなって倒産の道を選ばざるを得なくなったようです。生産性の低い中小企業を潰そうともくろむ菅首相にはあまり期待できそうにありませんが、更なる中小企業支援策を行ってもらいたいものです。

ROEを高めるために自己資本比率を引き下げる、あるいは当期純利益を上げるためにリストラをするようなことを行えば、結局は自分の首を絞め倒産リスクを増加させます。そのことを十分に認識したうえで、今後も新型コロナのような突発的な事態が起きても生き残れるように安全性重視の経営を心掛けることが重要です。そのためにもROE 重視からROA重視に切り替えるべきだと思います。

会社を潰す穴熊社長・評論家社長・アイデア社長

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で624人で、そのうち東京122人、神奈川44人、埼玉42人、千葉30人、愛知53人、大阪85人、兵庫36人、北海道75人などとなっています。北海道では札幌ススキノの「夜の街」関連でのクラスター型発し、飲食店の営業時間短縮などの措置を検討しているようですが、鈴木知事に、第1波の時の独自の緊急事態宣言発動のようなリーダーシップが見られません。経済優先の政府の意向が自治体にまで浸透してしまっているようです。何度も言うように経済と感染対策のバランスが大事です。経済ばかりに重きを置き感染防止対策がおろそかになると欧米のような急拡大が現実化します。国民一人一人が、GoToキャンペーンに踊らされることなく、気を緩めず密を避け、新しい生活様式を実践していきましょう。

アメリカ大統領選の開票が始まり、昨晩にはトランプ再選かと思われたのに、今朝目が覚めるとバイデン優勢になっていて、目が離せず面白いです。いまだ決着がつかないのにトランプが勝利宣言を出し、ツイッターで良からぬつぶやきをして警告フラッグが付けられたり非表示にされたりと、日本では考えられません。またトランプは集計の差し止めを求めたり不正があったと法廷闘争に持ち込もうとしているようですし、トランプ支持者とバイデン支持者のデモや対立などが繰り広げられ、どちらが勝っても、略奪が起きるようです。アメリカというのは不思議な国です。先日の大阪都構想否決もアメリカなら暴動が起きていたかもしれません。

トランプにしろバイデンにしろ、二人の演説を聞いていると流石ですね。日本の政治家とは比べ物になりません。菅首相の国会答弁も、防戦一方、同じ言葉の繰り返し、オウムでもロボットでもできます。立憲民主党の枝野代表が『壊れたレコード』と言っていますが言い得て妙です。

菅首相が、予算委員会で『私も『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と「鬼滅の刃」の主人公竈門炭治郎が必殺技を繰り出すときのセリフを引用したのに対し、立憲民主党辻元清美議員が「すべての決定権は私にあり、お前に拒否する権利はない。私が正しいと言ったことが正しいのだ」という炭治郎の宿敵・鬼舞辻無惨のセリフを引用して「こうならないようにくれぐれもご注意いただきたい」と返したのは面白いですが、今流行りの「鬼滅の刃」のセリフの応酬が国会の答弁で必要なのか疑問に思います。『鬼滅の刃』の便乗商法が国会にまで及んでいることは由々しきことです。鬼滅ファンから批判の声が上がっているようです。

一国のリーダーとしては、便乗商法に乗っかることなく、国民を納得させるだけの話し方、演説能力を身につけてもらいたいものです。話し方や演説能力が必要と言っても、その前に必要なのは誠実に丁寧に真実を伝える能力ですが(話し方や演説能力で真実をごまかし嘘をついてはいけません)。

今日はプレジデント・オンラインの「『アイデア豊富な社長こそ会社をつぶす』と断言する理由」という記事を取り上げます。この記事は経営コンサルタント小宮一慶氏の著書を基に書かれたものです。

いい社長とダメな社長を分けるものは何なのか。小宮氏は「成功している社長はマメで、よく気づき、よく動く。一方、会社を潰す社長は3つのタイムに分けられる」と言っています。その3つとは

  1. 社長室にずっといる「穴熊社長」・・・決めること、考えることが社長の仕事だからと、社長室に籠っていてはダメです。顧客を訪ねたり、現場を見たり、今どのようなことが求められているか・何は問題なのかを知ろうとする、新しくできたものを見に行ったり、体験したりして世の中の変葉を実感するということが必要です。有益な知識や情報を持っている人と会い、話を聞く、優れた知見を持つ専門家の意見を聞く、経営者仲間と定期的にあって情報交換するなども必要です。そうした中から正しい判断をする上で必要な気付きや発見が得られます。社長室に籠って人と会わない、知識や情報を吸収しない、社会の変化に目を向かない社長では正しい判断が出来ず、いずれは会社を潰してしまうというわけです。
  2. 評論家社長・・・会社のことをまるで評論家のように論評してばかりで、先頭に立って具体的なことをやろうとしない社長です。社長として重要なことは「実戦で結果を出すこと」です。「評論より行動」です。何をやるか何をやらないかを決めたら、すぐに具体的な計画に落とし込み(P)、実行すること(D)、実行したら結果を検証し(C)、改善策や推進策を練り再び実行する(A)、このサイクル(PDCAサイクル)を回して、指揮を執ることが社長の仕事です。行動を起こさず評論ばかりしている社長では会社は潰れます。
  3. イデア社長・・・その場の思い付きで「これやろう」「あれやろう」とアイデアだけ出す社長です。会議には一人で喋りまるで独演会にしているような社長です。意見やアイデアを出すのは自分しかいないと思っているのです。アイデアを出すのが経営だと勘違いしているのです。そうした社長が出すアイデアは十分に寝られているわけではなくその場の思い付きだけで出てきた陳腐なものです。こうした社長の下にいる社員は自分の意見が言えず、社長の脱アイデアに反対もできず結局は失敗するのです。失敗すれば自分が出したアイデア出ることは忘れ、部下のせいにしてしまう、こういう社長の下で働く社員は不幸です。いずれ会社は潰れます。

小宮氏の著書「できる社長は『これ』しかやらない」(PHP研究所)で書かれていますが、デキる社長・いい社長というのは、何でもかんでもやろうとするのではなく、何をやるか、何をやらないかを考え、やるべきことを絞り込み、やると決めたことは全力でやるのです。つまり、やると決めたことについては「やる方法」を全力を挙げて探すのです。

できる社長・成功している社長には、穴熊社長や評論家社長、アイデア社長はいません。こうした社長にならないように自分の頭で考え、やると決めたことには全力で立ち向かいましょう。

 

大阪都構想否決から企業経営者は何を学ぶべきか?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で866人、そのうち東京209人、神奈川69人、千葉40人、埼玉30人、愛知85人、大阪156人、兵庫52人、沖縄19人、北海道71人などとなっています。第1波の時のように減少せず、高い水準で下止まりしたまま増加に転じているように見えます。特に関西地区、愛知、北海道というところで増加傾向が見られますが、北海道と東北の宮城での急増が心配です。新型コロナウイルスもウイルスの一種なので寒くなると感染拡大すると言われています。その理由は、①温度が低下するとウイルスの生存期間が長くなること ➁乾燥により飛沫が拡散されやすくなること ③暖房で換気回数が減少すること が挙げられています。また、インフルエンザ流行期に入ります。密を避け、マスクの着用、部屋の換気をしっかりと行いましょう。

今日は、経営コラムニストの横山信弘氏の「大阪都構想否決』から学ぶ経営改革の難しさ~反対するほうが100倍ラクの事実」という記事を取り上げます。

11月1日に大阪都構想住民投票が行われ、僅差で否決されました。大阪都構想が否決された要因についての分析がいろいろなされていますが、大阪維新の会の支持者の約3割が反対に投じたことが大阪維新の会の敗因のひとつです。これは政党で判断するのではなく政策の中身を見ているということで大阪市民もちゃんとしているということです。それ以外にも色々と要因はありますが、「人は概して現状を維持したがり変化を望まない」傾向にあることが挙げられます。

大阪都構想否決」と同じようなことが、企業の組織改革や経営改革についても起こります。この記事では、大阪都構想否決から企業経営者は何を学ぶべきかということが書かれています。

大阪都構想住民投票について言えば、賛成か反対かの2案です。つまり、賛成案というのは組織改革をする(大阪市を廃止して特別区にする)という案で反対案は何もしない(大阪市を廃止せず現状のまま)という案です。

こうしたことは企業の組織改革でもよくみられる光景です。この記事も言っているように、改革推進派は経営の現状、組織の問題点を説明し、どうすれば問題解決になるかを提起し、それにあった改革案を提示します。提示される改革案は一つだけで、それに賛成か反対かということだけが求められます。一方で、改革反対派はその問題提起に異を唱え解決策の穴を指摘します。反対派はまとまって一枚岩にならなくてもいいのです。ただ、反対と口走っていればいいだけです。こうしたことから、反対派の方が100倍ラクだと言っています。

10月31日に沼田幹氏著「組織戦略の考え方」を紹介した際に書きましたが、組織というは元来劣化していくもの、腐っていくものです。同書は、組織腐敗のメカニズムを「ルールの複雑怪奇化」「成熟事業部の暇」という2つのキーワードで説明してくれています。「ルールの複雑怪奇化」というのは、組織においてふいるいっルールや手続きが廃止されず、その上に新しいルールや手続きが付け加えられて複雑怪奇化して組織が硬直化してしまうということです。「成熟事業部の暇」というのは、全員が仕事に慣れ仕事遂行能力が余ってくるとその余った時間で内向きの無用な仕事が次々に生み出されていくということです。当然組織が腐敗しはじめると経営自体にも大きな影響を与えますから、組織改革が必要になります。その際、改革を行おうとしても当然ながら反対派が出てきます。しかも厄介なことに、この反対派は一枚岩でなく統一されておらず、銘々が口々に「反対」と大声で唱えるだけです。そこには明確な論理はありません。

昨日の「すべての仕事は『逆』から考えるとうまくいく」でも書きましたが、「ボートを揺らせば揺らすほど、人はその場にしがみ付いてしまう」ものです。変化を拒む反対勢力への対応策が必要になります。大きは変化を起こすには、失敗への不安をかき消すような強い光が必要で、動き続け目標を達成するあらゆる可能性を探り、挑戦を厭わないリーダーこそが成功を収めることができるのです。抵抗勢力に立ち向かうには、それを防ぐことができる明確な論拠と今述べたようなリーダーシップが必要なのです。リーダーがリーダーシップを発揮することによって、明確な論拠で反対勢力を説得することができるのです。敗北して「政治家冥利に尽きる」などと発言しているようでは駄目なのです。都構想も目的達成のひとつの手段にしかすぎません。目的は達成されずに残っています。目的達成のための新しい手段(解決策)を考えてそれに取り組むことが政治家・リーダー足る人物の使命です。大阪維新の会も、都構想という手段を政策の柱にしていたのを改め今一度「何のため(目的)の都構想」だったかを考え直して政策の柱を作りなおすべきです。大阪ではまだまだ大阪維新の会の人気は強いのですから。

企業が改革を行おうとする場合、そこにはその企業が抱えている問題や課題があり、その解決策として改革を遂行しようとするものです。そしてその問題の背後には企業が目指す目標(目的)や理念が存在します。改革というのは、企業が抱える課題を解決し企業が掲げる目標(目的)達成のための手段にしかすぎないのです。

企業経営というのは未来の行動を考えることでもあります。従って明確な事実や証拠に基づいて行動できるものではなく不確実性が存在します。それでも昨日も書きましたが「合理的な疑い」を超える程度には事実や証拠に基づく検証が必要です。とはいえ、経営問題や課題を解決するための解決案は複数ありそれぞれにメリットもあればデメリットもあります。完璧な解決策というものはありません。常に最低2つの代替案も念頭に置いておくべきです。

一般的には、ビジネスでも、大阪都構想と同じく、ただ一つの解決案を提示して賛成か反対かということが行われています。

しかし、ビジネスでは完璧な解決策というものはなく、どれもが一長一短なら複数の解決案を提示して議論することも必要です。反対派も「反対のための反対」ではいけません。反対するのであれば、対案を用意すべきです。そうした反対派の対案をも含めて議論を行うことでより良い解決策が見つかることもあるはずです。良い組織では、反対意見が出ても、それをたたき台にして解決策をさらに進化させることができ、既存の代替案がアップデートされることもあれば、全く新しい代替案が出てくることもあります。

しかし、大阪都構想でもわかるように、組織改革というのは難しいことです。かなりの覚悟を持って臨まなければ否決されるか骨抜きにされてしまいます。しかし、組織というのは腐敗していくものなので、いつかは手をつけなければ崩壊してしまいます。地方公共団体大阪市)は潰れることはありませんが、企業は最悪潰れてしまいます。

新型コロナ禍において多くの企業が疲弊しています。今こそ改革すべき時期かもしれません。しかし重要なのは、手段ではありません。目的です。各企業が抱える問題や課題を解決すること、その課題と企業の目的・理念がどう結びつくかを考えて、解決策を考えることです。改革の背後に企業の目的や理念が明確に提示されていれば反対者は減るはずです。社員がこぞって一丸となって企業の理念に向かい突き進んでくれるはずです。だからこそやりがいもあるのです。